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星野リゾート4代目社長 星野佳路

星野リゾートの現在の社長である4代目星野佳路は「リゾート運営の達人」と呼ばれ、これまで数々の業績悪化した旅館を立て直してきた。
また、その経営方法は少し特殊で「教科書通りにやる」というものだ。
普通多くの人は経営の教科書はあくまで教科書であり、役に立たないと考えるが、星野社長は違う。
教科書をつまみ食いするのではなく、忠実に守って実践する。
今回の記事では星野社長が旅館やホテルを立て直す際に実際に参考した名著をご紹介する。
星野社長が実際に読んだ会社経営に役立つ名著9選
経営戦略
【競争の戦略】
M・Eポーター著
競争戦略の基本書として定評のある名著。
書籍の中に出てくる事例は古いが、その中でも現代に通用するエッセンスを学ぶのがコツ!!
星野社長が長野県の貴祥庵を再生した時に参考にした本でもある。
【The Myth of Excellence】
Fred Crawford著
英語なのでとっつきにくい本ではある。星野社長が星野リゾートがコモディティ化による価格競争に合わないようにするために参考にした本。
「サービスや製品で差別化できない時はアクセスを高めることによって他社と差別化できる」この言葉を実践し、改善したのが星野リゾートの予約システム。予約システムを改善したことで、旅館サービスと予約のしやすさを合わせた顧客満足度は他の旅館の群を抜いている。
マーケティング
【コトラーマーケティングマネジメント 基本編】
フィリップ・コトラー著
マーケティング基本書。コトラーの書籍の中では読みやすい方なのでこれからスタートしてみるのもおすすめ!星野社長が北海道のトマムリゾートを立て直した時に参考にした書籍でもある。
【売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則】
アル・ライズ&ジャック・トラウト著
この本の中ではよくあるマーケティングの間違いを紹介しており、星野社長もこれを参考にし、低迷していた「よなよなエール」というビールの売り上げを回復させた。
ちなみにこの本の中にはこんな一節がある。
「マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、見込み客の心の中に〇〇を植え付けることである」
現在、売り上げを伸ばそうと製品の多角化に走ろうとしている方はこちらを読んでみては?
サービス向上
【いかに「サービス」を収益化するか】
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部著
アルツ磐梯で顧客満足度を考えないスタッフに危機感を覚えた星野社長が立て直しに向けて、参考にした本。この本を参考にして始めた「カレーの美味しくなければ全額返金保証」は当初不正返金などが心配されたが、そんなことはほとんどなく、結果的にスタッフの意識向上と売り上げ増を達成した。
現在、サービスの収益化に悩んでいる方におすすめ!
【真実の瞬間 SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか】
ヤン・カールソン著
赤字だったスカンジナビア航空を立て直したヤン・カールソンの著書。顧客とスタッフとが接する真実の瞬間こそが顧客満足度につながることを理解した星野社長は、実際にこの本の参考にスタッフの質を高めることに成功している。
サービス業で働く人は必読の1冊!
【1分間顧客サービス 熱狂的ファンをつくる3つの秘訣】
K・ブランチャード&S・ボウルズ著
サービスに対する熱狂的なファンを作る秘訣をストーリー仕立てで解説した本。
この本を参考に星野リゾートではスタッフが施設のコンセプトを決めている。自分たちがコンセプトを決めるため共感でき、モチベーションにもつながる。
「全ての顧客を満足させようとしない」これが熱狂的なファンを作り出す一つ秘訣であり、星野リゾートでも採用している。
経営ヴィジョン
【ヴィジョナリーカンパニー 時代を超える生存の法則】
ジェームズ・C・コリンズ&ジェリー・I・ポラス著
名著中の名著であるビジョナリーカンパニーシリーズ。
星野リゾートではグループとして全員が同じ方向を向くために、社員に経営ビジョンの共有を徹底している。そして、この行動の背景にはこのビジョナリーカンパニーがあるという。
業績が上がる企業は単にいいサービスや製品を持っているだけでなく、ヴィジョンが明確で組織全体がお同じ方向を見て進んでいる。
長く繁栄する組織を作るためにも、現在経営者をしている方だけでなく、サラリーマンにもぜひ読んでほしい1冊だ。
【1分間エンパワーメント 人と組織が生まれ変わる3つの秘訣】
K.ブランチャード&J.P.カルロス&A.ランドルフ著
国内では絶版となってしまい、なかなか手に入らない名著。
企業は優れた経営者だけではうまくいかない。優れた社員も必要になってくる。この本では社員一人一人が持つ能力をいかに引き出し、組織を運営するのか解説している。
最後に内村鑑三の成功の秘訣をご紹介
ここまで星野社長がこれまで参考にしてきた名著の中の一部を紹介してきましたが、実はこれらの名著以外に星野社長が大事にしている言葉があります。
それは約80年前に祖父がキリスト教伝道者の内村鑑三からもらった文章である。
こちらも事業を成功に導く上で非常に重要なことが書かれているのでぜひ、読んでみてください。
成功の秘訣
六十六翁 内村鑑三
一、自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
一、本を固うすべし、然らば事業は自づから発展すべし。
一、急ぐべからず、自働車の如きも成るべく徐行すべし。
一、成功本位の米国主義に倣ふべからず。誠実本位の日本主義に則るべし。
一、濫費は罪悪なりと知るべし。
一、能く天の命に聴いて行ふべし。自から己が運命を作らんと欲すべからず。
一、雇人は兄弟と思ふべし。客人は家族として扱ふべし。
一、誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
一、清潔、整頓、堅実を主とすべし。
一、人もし全世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや。人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。
以上
【内村鑑三の書籍】
後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)
当記事の参考書籍:星野リゾートの教科書